今回は、初心者の方にもわかる「消費者金融とは何ぞや!?」ということについて、わかりやすく、しかし、がっちりと説明をしていきます。
そうなると難しい言葉の文章だらけでは疲れてしまうので、会話形式で話を進めて参ります。それでは、いってみましょう!
- 会社員A君:勤続3年の21歳。消費者金融については全く知識がない。
- 先輩Bさん:勤続歴5年のA君の先輩。消費者金融になぜか詳しい。
そもそも消費者金融ってどんな会社なの!?
まずは基本中の基本。「消費者金融とはどのような会社なのか」について。
A:「先輩、僕、今度消費者金融でカードローンを作ろうと思ってるんですけど、初めてなもので何もわからないんですよ。」
B:「最初なんてそんなもんさ。利用する前から消費者金融に詳しいヤツなんて、そうそういるもんじゃないから安心していいぞ。で、何を知りたいんだ?」
A:「何を知りたいと言われても、何を知ればいいんですかね?」
B:「ま、まあそうだよな…。それじゃあ、俺が消費者金融について最低限の知識を教えてやるから、しっかり覚えるんだぞ。」
「消費者金融」は正式名称ではない
B:「まず、消費者金融とかサラ金って呼び名からだな。消費者金融の正式名称は何ていうと思う?」
A:「え…?消費者金融は消費者金融じゃないんですか?」
B:「それが違うんだな。消費者金融もサラ金も、いつの間にか社会に定着した言葉だけど、それは正式名称じゃない。正式には「貸金業者」って言うんだ。」
A:「たいきんぎょうしゃ、ですか…。」
B:「貸金業者(かしきんぎょうしゃ)!あえて難しく読むこともないだろうに…。」
A:「あ、そうなんですね・・・。でも、別に消費者金融でもサラ金でもいいじゃないですか。正式名称を知ると何かわかるんですか?」
B:「それがわかるんだよ。消費者金融(サラ金)は、『貸金業法』っていう法律に基づいて、営業の届け出をしているんだ。その登録がないと、正規の業者じゃない、いわゆる『ヤミ金』ってヤツになるんだ。」
A:「なるほど~。『貸金業法』で決められた登録をしているから『貸金業者』なんですね?」
B:「まあ、そうとも言えるな。そして、この『貸金業者』は消費者金融だけじゃなく、信販会社や債権回収会社、保証業務専門会社なんかも含まれてるんだ。信販会社がクレジットカードにキャッシング枠を設定できるのは、貸金業者だからできるんだよ。」
(⇒消費者金融以外にどんな金融業者があるの?)
A:「あの…。正式名称はわかりましたけど、それで何がわかるんですか…?」
B:「それはこれから話すことさ。まずは、『貸金業者』は『貸金業法』に基づいて登録をし、営業をしているということがわかればいいよ。」
『貸金業者』が守るべきことは何で決まっている?
B:「じゃあ、次に進むぞ。消費者金融は『貸金業法』で決められた届出をすることで、営業ができるのはわかったな?じゃあ、その営業についても『貸金業法』に決められたことを守る義務があることは想像できるよな?」
A:「はい。でも、具体的に何を守ることになってるんですか?」
B:「『貸金業法』には、細々したことまで取り決めがあるんだ。その中で俺たち利用者が覚えておくべきことは、登録番号の制度・利息・総量規制・取立て行為の禁止事項くらいかな。」
A:「それって、難しいんですかね…?」
B:「いや、ひとつひとつを噛み砕いて覚えれば、そんなに難しいことじゃない。これから1つづつ教えるから、何となくでも覚えておくといいよ。」
『貸金業法』で利用者が覚えておくべきこと
B:「じゃあ、まず一番身近な利息からいくか。」
消費者金融の金利は法律で上限が設定されている
A:「利息って、自由に設定できるものじゃないんですか?」
B:「上限が決まっているのさ。その範囲内であれば、各社で自由に設定することができるんだ。だから、消費者金融の間でも金利の差が出ていても、上限を超えることは法的に許されないんだ。」
A:「で、その金利の上限というのは…?」
B:「これは表で見るとわかりやすいだろうから、下の表で確認してみるといい。金額によって上限の数字も変わっているから、そこに注意だな。」
貸付金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円以下 | 20.0% |
10万円超100万円以下 | 18.0% |
100万円超 | 15.0% |
遅延損害金 | 20.0% |
A:「なるほど。多く借りればそれだけ金利も下がるってことですね。」
B:「そう。そしてこれは『貸金業法』ではなく、『利息制限法』って別の法律で決められている数字なんだ。『貸金業法』では、この『利息制限法』を守るようにと書かれているんだ。」
A:「また別の法律が出てくるんですね…。」
B:「そうはいっても、この表を覚えておけばいいだけだから。これに違反している正規業者は監督官庁から処分されてしまうし、貸付条件で違反した金利を書いている業者はヤミ金かもと疑ってかかることができる。」
A:「監督官庁って言うのは…?」
消費者金融の届出制度
B:「消費者金融会社は、3年に1度、登録の届出と更新をしなければいけないんだ。運転免許みたいな更新制になっているってことだな。そして、その届出先は2つに分かれる。」
A:「消費者金融でも届出先が違うってことですか?」
B:「そう。これも単純な話で、店舗を1つの都道府県にしか持たない消費者金融はその都道府県知事に、2つ以上の都道府県に店舗を持つ消費者金融は、財務局長(財務省の出先機関)に届け出をすることになっているんだ。」
A:「1つの都道府県なら知事、2つ以上の都道府県なら財務局長、ですか。」
B:「その通り。そして、その届出先によって、登録番号の記載が変わってくることは知識として覚えておくといい。例えば東京都知事に届出をした業者は、『東京都知事(1)第00001号』となるし、関東財務局長に届出をした業者は、『関東財務局長(1)第00001号』という具合になるんだ。」
A:「それを知っておくと何か役に立つんですか?」
B:「少なくとも2つの面で役に立つ。1つはその消費者金融がどれ位長く営業しているかの目安になること。知事とか局長のすぐ後ろにある(1)が、登録更新回数なんだ。この数字が大きければ、それだけ長く営業していることがわかる。」
A:「老舗かどうかの判断基準ですね。」
B:「そう。そしてもう1つは、ヤミ金業者か正規業者かを見抜く材料になる。金融庁のホームページに、『貸金業者検索サービス』ってのがあって、そこでこの番号を頼りにヤミ金かどうかがわかるってことだな。DMとかチラシの業者が、正規業者かどうか判断するのには役に立つ。」
A:「犯罪に巻き込まれないための知識ってことですね。なるほど…。」
(⇒融資利用は安全性を優先)
B:「最近は有名企業のグループ会社だと名乗ったり、消費者金融そのものの名前を利用するヤミ金や詐欺集団もあるから、くれぐれも騙されないように注意することが大事だな。」
年収を基に貸付上限が決められている「総量規制」制度
B:「よし、それじゃあ次は『総量規制』の話だ。これは利用者の年収を基にして、貸付の上限額が法律で決められているということ。貸金業界全体で、利用者の年収の3分の1までしか貸してはいけないことになってるんだ。」
A:「年収の3分の1、ですか。」
B:「念の為だが、年収と手取りは違うから、そこを間違えないようにしないといけない。年収は所得税とか社会保険料とか給料から差し引かれる前の金額の年額。これを手取りの年額と勘違いすると、申込みの時に自分から少なく収入を申告することになるから、くれぐれも要注意だな。」
A:「あ、税金とかが引かれる前の金額なんですね。」
B:「そう。だから、自分の年収を把握するための源泉徴収票とか確定申告書とかの年収が記載された書類は大切に保管しておいた方がいい。」
A:「こういうときに役に立つんですね。源泉徴収票って。」
B:「ついでにもうひとつ。銀行や信用金庫などの金融機関と言われている所からの借入れは、総量規制の対象外だ。あと、住宅ローンやマイカーローンなどの目的別ローンや、おまとめローンなどの特殊なローンも対象外になる。」
取り立て行為の禁止事項
A:「先輩。あとは取り立て行為についてですね?」
B:「そうだな。これも『貸金業法』でやってはいけない取立て行為が明文化されているんだ。全部書くと難しくなるから、代表的なものだけをサラッとあげておくか。」
- 夜9時から朝8時までの電話やメール、FAX、訪問は禁止
- 勤務先への電話や訪問は特別な事情がない限り禁止
- 利用者本人と保証人以外への返済要求は禁止
- 立て看板や大声で隣近所に言いふらすなどの行為も禁止
- 親族などに返済させるよう協力を求めることも、親族が拒否すれば禁止
B:「以前、過剰な取立て行為が社会問題になったために、こういった具体的な禁止事項が法律に書き込まれるようになったんだ。『片目や腎臓の片方を売ってでも金返せ』なんて取り立てがニュースや情報番組で流れたのはショッキングだったから、こういう決まりができたとも言われているんだ。」
A:「片目って、売れるんですかね…。」
B:「そういう問題じゃなくてな…。」
消費者金融の取り扱っているローンと申し込み
B:「消費者金融についてはざっとこれくらい覚えておけばトラブルに巻き込まれることもないだろう。これで安心して申し込みできるな。」
A:「あの…。肝心のローンの内容とか申し込み方法は…?」
B:「おお!そうだな。それを先に言ってしまうと、今までの話をスルーされてしまうと思って取っておいたんだ(笑)。」
大手~中堅消費者金融の特徴と申し込み方法
B:「じゃあ、まずは有名どころの大手や中堅クラスの特徴と申し込み方法から説明しよう。これらの消費者金融が主力にしているのは、カードローン形式の融資。公式サイトも開設していて商品概要から申し込みの流れまで詳しく調べられるぞ。」
A:「公式サイトから申し込みもできるんですか?」
A:「申し込みには何が必要なんですか?」
B:「ネットでの申し込みは一般的に仮審査とされていて、それに通過したら身分証明書として下のような書類が必要になる。あと、借入れ額が50万円を超える場合や、他社との合計が100万を超えるなら、収入証明の提出も義務になっているな。」
- 【主な身分証明書類】
- 運転免許証
- 住民基本台帳カード
- パスポート
- 健康保険証
- 【主な収入証明書類】
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 役場発行の収入証明書
- 住民税の納税通知書
- 直近2~3か月分の給与明細書
B:「身分証明書は有効期限内のもので、現住所が記載されていることが絶対条件。収入証明書は今の勤務先で発行されたもので、一番新しいものが有効になる。給与明細書は手書き修正などがあると、社印が押してある物だけが有効になる。」
A:「借入額が50万円以下なら、収入証明書類は要らないんですか?」
B:「提出不要としている業者が多いのは事実だけど、申し込みの時に年収を記入するのには必要な書類だろうから、手元にはあるべきだろうな。後、必ずしも不要とは限らないから、いつ提出を求められてもいいように準備はしておいた方がいい。」
A:「理想の申し込み手順みたいなものはないですかね…。」
中小消費者金融の場合、店頭窓口での申し込みが多い
B:「最後に中小の消費者金融だけど、こっちは公式サイトなどがないことも多いし、電話帳などで自分の街のにある消費者金融を調べて、電話で相談したり、店舗に出向く時間を予約するところからスタートになる。」
A:「中小の消費者金融にもカードローンってあるんですか?」
B:「ごく稀に存在しているけど、ほとんどの場合は証書型貸付と言って、その場で借用証書を作成し、その金額を借りる形式が多いな。あとは毎月振込や店舗へ持参で返済をするっていうのが基本になっていると思っていい。あと、住民票など大手とは違う証明書類を求めることもあるから、何が必要かを電話でしっかり確認することだな。」
A:「大手と中小では融資のスタイルも申込みの方法も違うってことですね。」
B:「そう。それぞれの規模に合わせたスタイルで営業しているから、利用者もそれに合わせた申し込みをすることになるわけだ。」
ご利用は計画的に!
A:「消費者金融のしくみや申し込み方法がイメージできた気がします。」
B:「これでもまだ言い足りないくらいだけど、大まかなイメージは掴めたんじゃないかな。後は返済計画をしっかり立てて、借り過ぎたり返済を滞らせたりしないことが重要だよ。CMでも言ってるけど、ご利用は計画的に、だな。」