お金がなくても買物や食事の代金を支払ってくれる便利なクレジットカードはもはや成人なら一人一枚は持っていますよね。いや、それどころか数枚持っている人も珍しくはないかもしれません。そんなクレジットカードもショッピングなどの代金の決済だけでなく、最近では一定額の範囲内でキャッシングできるタイプも増えてきました。
クレジットカードのキャッシングとは、カードローンでキャッシングするのと同様お金を借りる行為で現金を引き出すことです。したがって、その借りた代金は後日リボルビング払いなどにより利息を含めて返済することになるわけです。しかし、銀行が発行するクレジットカードの中には普通預金のキャッシュカードのように使えるタイプもあるのです。
その機能を持っているカードが三菱東京UFJ銀行のスーパーICカードなのです。このカードではキャッシュカードとして、クレジットカードとして(キャッシング機能の利用により)、ATMから現金を引き出すことができるわけです。これからこの便利なカードの「キャッシング」に関する賢い利用法や注意点などを紹介しましょう。
(⇒三菱UFJ銀行の融資について)
スーパーICカードの概要
三菱東京UFJ銀行のスーパーICカードを利用して上手にキャッシングするためには、まずこのカードの大まかな特徴の把握が欠かせません。現在、どのようなタイプがあって申し込みが可能なのか、どのカードでキャッシングできるのか、どれがキャッシュカードとして利用できるのか、などの基本情報を確認していきましょう。
スーパーICカードとは
スーパーICカードとは三菱東京UFJ銀行が発行するクレジットカードです。カードの名称としては「三菱東京UFJ-VISA」となっていて、機能面のタイプとしてスーパーICカードとICクレジットカードに大別されています。ローンカードのようなキャッシング機能は両者に付随していますが、キャッシュカードとしても利用できるのは前者のみとなっています。
契約可能なスーパーICカード
既に発行されているカードのタイプが多く存在していますが、新たに申し込みができなくなっているタイプもあるので最初に確認しておきましょう。
2014年10月05日現在、同行のホームページで新規申し込みが可能となっているスーパーICカードは、次のようになっています。
- スーパーICカード「三菱東京UFJ-VISA ゴールド」<コンビタイプ>
- スーパーICカード「三菱東京UFJ-VISA ゴールド プレミアム」<セキュリティタイプ>
- スーパーICカード TOP& PASMO「三菱東京UFJ-VISA」とそのゴールドタイプ
- スーパーICカード Suica「三菱東京UFJ-VISA」とそのゴールドタイプ
申し込みは、インターネット、郵送、銀行窓口で行うことができますが、インターネットからの申し込みの場合は入会の審査からカードの発行まで約3週間かかり、郵送の場合は郵送専用の申込書の郵送時間がかかるため約4週間かかるものと見られています。
このカードの場合、申し込むためには普通預金やスーパー普通預金の口座が必要となるので注意が必要です。つまり、普通預金口座を同行で保有していない人は郵送による手続か、銀行窓口での手続きにより口座を開設してからカードの申し込みを行う必要があるのです。
さまざまなサービスがあります
スーパーICカードにはいつか種類があり、各々さまざまな特色あるサービスが付いてあります。例えば、VISA ゴールド プレミアム<セキュリティタイプ>では年会費が無料で、手のひら静脈認証機能、身体認証による預金被害補償が付いています。また、条件をクリアすれば同行ATM時間外手数料や提携コンビニAMTの利用手数料が無料になります。
また、新規入会キャンペーンなども随時行われており入会時に1500円分と一定額以上の利用で3500円のポイントがもらえることもあります。このように現在のクレジットカードにはいろいろな特徴があるので、キャッシングの機能面の特徴を考えるとともにその他の多様な機能やサービスを十分に考慮して選ばないと損するかもしれないですね。
キャッシングの概要
ここではスーパーICカード及びICカードのキャッシング機能についてみていきましょう。どのような機能があり、どのような場面で使えるのか、というような基本的な特徴を確認します。
キャッシングの内容 | スーパーICカード | ICカード |
---|---|---|
金利: 一般カード 金利: ゴールドカード |
4.5% 9.0% |
14.5% 9.0% |
利用枠: 一般カード 利用枠: ゴールドカード |
50万円 100万円 |
50万円 100万円 |
海外キャッシング | 可能 | 可能 |
WEBキャッシング | 可能 | 不可 |
キャッシュカード機能 | 可能 | 不可 |
利用方法
キャッシングはその利用可能枠の範囲内なら自由に何度でも利用できます。支払方法は一括払いとリボルビング払いを利用することが可能で、現金を引き出す単位は利用可能枠の範囲内で1万円以上、1万円単位で利用できます。
キャッシングの利用可能枠はスーパーICカードの場合、ゴールドカードは100万円まで、一般カードは50万円までになっています。キャッシング利用枠とショッピング利用枠の金額は同じとは限らないので混同しないようによくチェックしておいたほうがよいでしょう。もちろん、実際の利用枠は申込者の審査結果により各々利用者に対して決められます。
キャッシングの利率は、ゴールドカードは9.0%、一般カードは14.5%までになっています。また、同行では優遇金利のサービスが実施されることがあり、それに適用されると上記の金利よりも下がることもあので、見逃さないように定期的なチェックが欠かせませんね。 なお、キャッシングでは利用日の翌日から利息が発生します。
キャッシングの返済は一括払いとリボルビング払いで行うことができます。事前にリボ払いを登録できるサービスもあり、その都度支払方法を決める手間をなくすこともできます。また、ショッピングなどの支払いで一括払いにした後にリボルビング払いに変更することや、繰り上げ返済できるようになっており支払いの自由度が高くて便利です。
利用場所
キャッシングはIC及びスーパーICともに国内だけでなく海外でも利用できます。
○国内
国内にある同行のATMやCD、提携コンビニのATM(セブン銀行ATM、ローソンATM、E-net ATM)、また三菱UFJニコス(株)が指定する金融機関のATMやCDで利用できます。キャッシングができる時間帯は、最長で0:45から23:45の間になっていますが、利用場所によっては異なるので確認が必要です。
返済の場合は、最長で8:45から20:00までの間で利用できますが、やはり利用場所によって利用できる曜日や時間帯が違うこともあります。また、三菱UFJニコス(株)やノンバンクなどの金融機関以外のATMやCDでは一部を除いて利用できないので返済前には必ず確認しておきましょう。
○海外
海外でキャッシングする場合、PLUSやVISAのロゴマークのあるATMや、VISAに加盟及び提携している金融機関の窓口でキャッシングすることができます。金融機関の窓口でキャッシングする場合、ICまたはスーパーICのカードだけでなくパスポートを提示する必要があるので、その際にはパスポートを携帯しておかねばなりません。
海外キャッシングの支払方法は原則一括払いですが、事前にリボ払いを登録する「事前登録(リボ)」しておけばリボ払いとすることができます。
WEBキャッシング
スーパーICカードの場合、三菱東京UFJダイレクトのインターネットバンキングを使っていつでもキャッシングをすることができます。例えば、公共料金の自動引き落としやクレジットカードの決済をしている銀行口座の残高が不足して支払いができない時にスーパーICカードを利用して即時振込をすれば、わざわざ銀行まで入金に行く手間が省けます。
この即時振込サービスは手数料が無料でインターネットから24時間いつでも好きな時に申し込みができ、時間帯によっては数十秒で決済口座に振り込んでもらうことができるのです。このサービスはICクレジットカードでは利用できないことと、事前に三菱東京UFJダイレクトの契約が条件となっていることには注意しておいたほうがよいでしょう。
心得1:利用したい点
スーパーICカードのキャッシング機能を使いこなすためには、既にみてきたキャッシングについての基本知識を頭に入れておくとともに次のような点にも注意しておきましょう。
キャッシュカード機能の優先
それは借入れではないので利息がかかることもなく返済を心配する必要もありません。そのため、口座に現金が残っている限りキャッシュカードとして利用しないと損です。比較的金利が低いとはいえキャッシング機能では年率14.5%(一般カード)の利息がかかるわけですから、口座残高を意識した使い分けを的確に行いたいですね。
商品代金は通常の決済で
クレジットカードを利用している人の中にはショッピングの利用代金の決済とキャッシング利用代金の決済の処理方法がまったく同じと考えている人も少なからずおられるようです。スーパーICカードでは支払いにおける金利は同じでも利息・手数料のかかり方が異なるのです。
具体的には、ショッピング利用の決済の場合、初回の支払日の翌日以降から手数料が発生すると決められています。リボ払いの場合、毎月15日までに利用した金額を翌月10日から予め決められた金額により分割で支払うことになっているので、商品代金の支払いに対する手数料は締日の翌月の10日以降から発生するわけです。
それに対して、キャッシングの場合、利用した日の翌日から利息が発生することになっているので、ショッピング利用の決済に比べ利息負担が大きくなるわけです。そのため、スーパーICカードでキャッシングした現金で商品や食事の代金を支払うなら損することになるので、こうした利用が多くならないように気を付けたいですね。
例えば、買物をするため9月20日に10万円をキャッシングしたと仮定すると、この代金の締めは10月15日となり支払日は11月10日となります。そして、その支払日までの利息は、10万円×0.145×51日÷365日=2026.03円かかることになるのです。しかし、その10万円をクレジットカードで支払えば、その支払日までの手数料はかからずお得なのです。
カードローンとの使い分け
スーパーICカードのキャッシング枠は一般カードで50万円、ゴールドカードで100万円までとなっていて、ちょっとしたキャッシングには十分対応できるでしょう。しかし、キャッシングの利用頻度や利用額を多くなるような場合には、借入れ専用のカードローンの利用のほうが得することもあるのです。
三菱東京UFJ銀行は「バンクイック」というカードローン商品をラインナップしてその強化にも力を入れています。同商品の融資限度額は最高500万円まで、金利は限度額に応じて4.6%~14.6%が適用されます。審査時間は手続きを開始して最短約30分となっていて、ATMの利用手数料が無料であるなどサービスが充実しています。
(⇒素早い審査なら即日融資も可能?)
スーパーIC(一般カード)とバンクイックの金利を比較すると、前者では50万円以下の金利は14.5%、後者では50万円以下は14.6%、50万円超~100万円以下は12.6%となっています。50万円以下の利用であれば両者の金利はほぼ同じですが、スーパーIC(一般タイプ)は50万までしか最大でも借りられませんが、バンクイックは可能です。
さらに50万円を超えると12.6%以上の低金利になっていきます。また、手続きの面でもスーパーICは審査が終了するまでに約3週間以上はかかりますが、バンクイックは最短約30分で当日の借入れも可能となっているほどのスピード審査・スピード融資を実現しています。
以上のことからスーパーICは比較的少額のキャッシングにはカードローンと同等の金利水準であるため十分利用価値は高いといえますが、50万円を超えるような高額利用の場合はカードローンのほうが適しているといえそうです。また、申込後できるだけ早くキャッシングしたい場合スーパーICは時間がかなりかかるので適しているとはいえないでしょう。
心得2:注意したい点
今までスーパーICカードの全体像をみてきましたが、最後に特に注意しておきたい点を確認します。既にいくつかの注意点はあったかと思いますが、それらに加えてまだいくつかの重要なポイントが残っているので押さえておきましょう。
計画的な利用、計画に基づく返済
キャッシングはお金を借りる行為であるため、キャッシュカードのようにお金を安易に引き出すと後の返済で苦労することになります。スーパーIC(一般カード)の金利は14.6%と他社のクレジットカードよりもやや低めかもしれませんが、利用枠いっぱいまで利用すると毎月の返済額増大し生活に影響することもあるでしょう。
利用枠が比較的小さいので返済に困窮する可能性は低いかもしれませんが、一時的にでも支払いが遅れるようなことがないように計画的な借入れと返済を行うべきです。商品や飲食などの代金の支払などがあれば返済の管理も煩雑になりやすいので、毎月一定期日には債務管理を行うようにしましょう。
また、リボ払いで長期に支払うことになればトータルの利息の支払額はかなりの大金になり思った以上に損をしたと思うかもしれません。返済するための管理が重要であることは間違いないですが、利用そのものを適正に行い不必要な利息を支払わなくてよいような利用を心掛けてほしいものですね。(参考ページはこちら→時には繰り上げ返済を行ってみよう)
特典も多いが条件も多い
スーパーICカードは種類も豊富でさまざまなサービスや特典などが用意された魅力的なクレジットカードといえそうですが、それらの特典を得るため、利用するための条件がつけられているケースが少なくありません。利用を検討する上で、そうした条件を自分がクリアできるのかをよく確かめておく必要があります。
例えば、同行のATMの利用手数料が無料になるという特典があります。この特典を受けるためには、スーパー普通預金(メインバンク プラス)を利用すること、三菱東京UFJダイレクトの契約と初回登録をしておくこと、さらにクレジットカードでの利用代金の決済が1円以上あることが条件となっているのです。
いくら魅力的な特典があってもそれついている条件を満足できなければ、利用することはできずその人には何ら価値のないものになってしまうこともあるので、特に条件付きはしっかり内容を確かめておきましょう。
海外キャッシングでの事前確認
スーパーICカードは海外のPLUSやVISAのマークのあるATMでキャッシングできますが、詳細な情報は同行のホームページには記載されていません。そのキャッシングの際に手数料や金利がかかるのは記載されていますが、具体的な情報がないのです。
同じ国でも地域によって利用できるATMの場所や数などが大きく異なることもあります。また、手数料も設置機関によってかなりばらつくこともあるのです。さらに、ATMの機種によってはカードが使用できなかったり、カードが飲み込まれたりというようなトラブルにあうこともないとはいえません。
もし海外で利用する場合は、どの地域のどの場所(駅、空港、ホテルなど)で利用できるか、どのくらいの手数料をとられるのか、利息はどれくらいかかるかなどを予め調べておく必要があるでしょう。
利用枠の勘違い
スーパーICカード(一般)のショッピング利用可能枠は100万円まで、キャッシング利用可能枠は50万円までとなっていますが、クレジットカード全体の利用可能枠は100万円までとなっています。これは、ショッピングとキャッシングの利用合計が100万円まであることを意味し、各々100万円と50万円の合計150万円まで利用できるということではないのです。
例えば、ショッピング枠で70万円利用していたら、キャッシングは最大でも30万円しかできないわけです。もしキャッシングで50万円利用していたら、ショッピングでは50万円しか利用できないということなのです。キャッシングを多めにしたいと考えている場合は事前にショッピングでの利用額を確認しておいたほうがいいでしょう。