「嘘も方便」ということわざがあります。「たとえ嘘であっても、それが良い方向に向くのであれば方便として通用する」といった意味ですが、キャッシングの申込み(審査)では「嘘は致命傷」になることがほとんどです。
(⇒融資に申し込む前に知ってもらいたい事)
審査で嘘が通じない理由を考える
まず、なぜ嘘をついて申込みをするのか。その心理状態から考えてみましょう。キャッシングの申込みで嘘をつかなければいけない理由は主に3つ。
- 勤務歴が短くて審査に通るか不安
- 収入が少なくて希望額を借りれるか不安
- 他社借入があって、審査に通るか不安
どれもが「審査に通らない不安感」から来るものだというのは簡単に解りますよね?もし、自分の状況に自信があるのなら、わざわざ嘘をつく必要はありませんから、上に書いたような不安要素をごまかして、なんとか審査をすり抜けようとするわけです。
勤務歴が嘘だとばれる理由
勤務歴が短くて不安だからと、実際よりも長く書いた場合、何がきっかけとなって嘘だと見抜かれるのでしょう?在籍確認の電話で「そちらにお勤めのAさんは、いつからお勤めですか?」などと訊く訳でもないのに…。
(⇒勤続年数は融資でどれだけ大事なの?)
では、次の話を見てください。
Aさんは転職して2ヶ月目。社会人のたしなみとしてクレジットカードを前の職場に勤めているときに作っています。
そんなAさん。転職間もないうちにキャッシングが必要になってしまい、「勤務歴2ヶ月って書いたら審査に通らないだろうなぁ…」と考えて、「勤続1年」と申し込みをします。
しかし、これがばれて審査落ち。審査内容(落ちた理由)は教えてもらえないので、Aさんには嘘がばれていることには気づかないかもしれません。
実は審査の際にAさんの信用情報を取り寄せたとき、クレジットカード会社に届け出た勤務先変更の情報が登録されていて、その年月日から「転職間もないんだな…」と見抜かれてしまうんです。
Aさんは個人の信用情報が審査で利用されるという基本的なことを考えずに、墓穴を掘ってしまったわけです。
Aさん同様、転職間もないBさん。新しい会社での勤務歴はまだ3ヶ月だけど、勤務歴2年と大盛りで嘘をついて申し込み。希望金額は70万円。
しかし、Bさんが申込んだ消費者金融から、「仮審査は通過しました。契約手続きですが、希望額が50万円を超えているので、収入証明書を提出して下さい」と言われてしまいます。
ここで気がつけばよかったものを、たまたま3ヶ月の間に年を越してしまって源泉徴収票をもらっていたBさんは、「これを出せばいいんだな」とコピーをとって提出してしまいます。
そして、「申し訳ございません。今回はご融資を見送らせていただきます」と一転否決の通達。当然理由は教えてもらえません。
そう、源泉徴収票には「転職した年月」が記載されているんです。しかもBさんの場合、勤務歴2年なのに前年の収入が3か月分しか記載されていない。普通ならわかるだろ!という初歩的で致命的なミスをBさんはやらかしてしまったんです。
勤務先の情報は個人信用情報に登録されている
Aさんの場合、クレジットカード会社への転職届けが信用情報として登録されることを知らなかったのが致命的でした。個人信用情報は借り入れのことだけでなく、住所や勤務先などの情報も登録されています。もちろん、それがいつ登録されたのかも。その情報がキャッシング審査で利用されれば、転職間もないことが判明するのは簡単なことです。
(⇒融資の信用情報について学んでおこう)
源泉徴収票には就職・退職年月も記載されている
その年の途中で入社あるいは退社した場合、源泉徴収票にはそのことを示す記載がされています。Bさんの場合、その転職情報が書かれていることにまで目が行かなかったのが致命的なミスとなって表れました。さらに年収などの金額が思いっきり少ないことにも気づかなかったのは、笑い話になるレベルの嘘になってしまいます。
年収をごまかしてばれる理由
これも例としてお話します。
Cさんは消費者金融X社とY社から合計で80万円借入れをしていました。更に今回、30万円の希望で消費者金融のZ社に申込みをする際、「年収が300万だからヤバイよな…」と年収400万円として申告をしました。
Cさんにしてみれば、消費者金融からの借入れは年収の3分の1までしかできない、つまり本来なら100万円までしか借りれないことを知っていたので、年収を400万円にしてしまえば、今回30万円で申込んでも大丈夫と考えてのことでした。
しかし、Cさんに予期せぬ言葉が告げられます。Z社のオペレーターから、「収入証明書を提出して下さい」と言われてTHE・END。実際300万円の年収だったものを400万円として証明できる術もなく、Cさんは審査落ちとなってしまいました。
消費者金融へ収入証明を提出しなければいけないケースとは?
「原則収入証明書の提出不要」というフレーズが多くなってきたキャッシングの世界。しかし、提出が義務付けられているケースもあるんです。Cさんの場合、他社借入と今回の希望額の合計が100万円を超えてしまったのが提出義務となってしまったんです。
消費者金融が守らなければいけない「貸金業法」には、①今回の契約が単独で50万円を超える場合、②他社借入と今回の契約の合計が100万円を超える場合、どちらかに当てはまるときは返済能力の調査として収入証明の書類を提出させなければいけないと決められています。
Cさんは「年収の3分の1までしか借りれない」という総量規制のことは知っていても、この調査のことは頭に入っていませんでした。そのため、収入証明書の提出を求められて万事休すとなってしまったわけですね。
他社借入をごまかすのは100%通用しない
もうお解りのこととは思いますが、念のためにお話しておきましょう。個人信用情報にはその加盟会社からの借入れに関する事柄が逐一登録されています。そして、この情報はキャッシングの審査で必ず取り寄せ、利用されます。
嘘が通用しても、後からしっぺ返しが来る!
先の例で挙げたA・B・Cの3人。上手くごまかせたとしても、その後に痛いしっぺ返しが待っています。その場はすり抜けたとしても、後からばれるケースも多いんです。
後から嘘がばれるケースとは?その影響は?
後から嘘がばれるのは、主にこのような場合です。
- 新規で別会社に申込みをし、合計借入額が100万円を超える場合
- 増額の申し込みをして、その会社からの借入れが50万円を超える場合
- 上の2つが定期的な融資の見直しで判明し、収入証明の提出を求められる場合
どれも後から追加で申込みをしたことが原因となって嘘が見抜かれるパターンです。そうなるとその審査だけでなく、それまでもらっていた限度額がゼロになってしまう可能性も出てきます。最悪の場合には即時全額返済を求められてもおかしくないんですよ。
(⇒増額に申し込む前には気をつけよう)
審査担当者はプロ。嘘は見抜ける眼を持っている
【参考ページ】
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