家族に内緒でキャッシングを利用するために、自宅への電話や郵便物はパスしたいと思っている人も多いでしょう。しかし、多くのローンでは最低1回は自宅への郵便物が送られる仕組みになっています。
今回は、自宅に送られてくる郵便物やかかってくる電話の内容と、自宅へのアプローチを自分でブロックする方法について考えてみましょう。
自宅へ電話や郵便が来るパターン
多くのキャッシングローンでは、審査や手続きの為に電話や郵便を利用しています。それは、単純に通信手段としての役割だけではなく、安全を確保する為の手段としても利用されているのはご存知しょうか?
犯罪防止の為の郵便物送付
まず、キャッシングが他人のなりすまし犯罪に利用されることを防ぐ目的として、申込者本人しか受け取れない「本人限定郵便」などでカードや契約書類を郵送するパターンです。これは多くの銀行や消費者金融などが、申込者が名義人と同一人物であるという確証を得られない時も法的な義務となっています。
『犯罪による収益の移転防止に関する法律』が、「特定業者による顧客の本人特定」を義務付けているのがその根拠となっていて、「特定業者」にはキャッシングなどのローンを取り扱っている殆どの企業が含まれています。
- 銀行・信金・労金・信用協同組合・農協・漁協などの「金融機関」
- 保険会社・証券会社・信託会社など、保険や金融に取扱会社
- 消費者金融・信販会社などの「貸金業者」
- 弁護士・司法書士・行政書士公認会計士・税理士
など、46の業種を指定しています。キャッシングローンを提供している所は例外なく、この中に含まれていることがわかるでしょうか。そして、キャッシング以外にも色々な取引をする際に、顧客が名義人本人であることを確認する義務を定めています。
- 預貯金契約・為替取引
- 賃貸借契約
- クレジットカードの交付を伴う契約
- 宅地・建物・貴金属の売買契約
この他にもいくつかの取引が列挙されていますが、ここでは「個人で大きな取引や金銭の貸し借りに関する取引をする場合」、本人特定の作業が行なわれると覚えておけば充分です。これらの背景には、口座の売買や身分証明書の偽造によるなりすましなど、犯罪によって利益を挙げ、さらに犯罪を助長することを防止する意味が込められています。
単純な審査や郵送目的も当然ある
最初に仰々しい「犯罪防止の為」という話を持ってきましたが、当然、キャッシングの審査やカードの郵送手段が電話や郵送しかないという場合もあります。こちらは単純に別の方法で審査・手続きをすることができれば回避可能なものですから、自分で積極的に行動することができます。
それでは、自宅への電話や郵便物をなくする方法について、金融機関(銀行など)と消費者金融とでそれぞれ考えていきましょう。
自宅連絡への対策~消費者金融編
まずは消費者金融からの連絡を自宅以外にしてもらう方法です。消費者金融から自宅へコンタクトを取るのは、「審査での自宅電話確認」「カードや契約書類の受取方法を郵送にしたとき」「利用明細を発行、送付しなければいけないとき」「督促状など債権回収に関する事務手続き」などが挙げられます。
審査での電話確認を回避するには
申込書に「自宅電話」を記載した場合、その電話が本当に設置されているかを実際に発信して確認する、ごくシンプルな審査方法です。会社名での電話ではなく、担当者の個人名でかかってくるものですが、日常、個人から電話がかかってくることがない人にとっては不自然に感じることでもあるでしょう。
この電話は申込みの際に工夫をすることで、軽減あるいは回避することができます。その工夫は…
- 申込み後に、自宅への電話は避けて欲しいと相談をする
- 携帯など、別の連絡に必ず応答する
- 申込書に自宅電話を記入しない
どれも至極簡単なことばかり。ほんのちょっとした手間と工夫で、自宅への電話を回避することが可能です。昔は固定電話の存在が審査に大きな影響を与えていましたが、最近では携帯しか所有していない家庭も増えていますので、昔ほど重要なアイテムではなくなりました(あった方が有利なのは確かですが)。
最も積極的なのは、自分から電話をし、「自宅への連絡だけは止めて欲しい」と相談をすることです。自分の側にある事情ですから、自分からアピールをするというのも不思議なことではありません。
郵便物への対策も積極的に
自宅へのアプローチは、電話だけではありません。先に書いたように郵便での書類送付なども行なわれる事があります。消費者金融から送られて来る郵便物としては…
- 本契約のための申込書など(郵送手続きを希望する場合)
- カードローンのカードや契約書類(郵送受取りを希望する場合)
- 利用明細や領収書の類(一定の条件を満たせない場合)
- 解約後の証書など、書類の返却
消費者金融の契約手続きは店頭や自動契約機へ出向いて、本人確認も契約手続きも済ませられるのが大きな特徴です。カードローンを扱っている大手~準大手の場合、自動契約機を全国または営業エリアに設置されていて、契約書類もカードと一緒に受け取れるので、自宅への郵便物をなくすることができます。
3段目の「利用明細や領収書」は、利用明細の発行されないATMを利用した場合などに発行することになっています。単純に明細が出力されるATMを利用すればいいことに加え、公式サイトで会員専用ページを設けている会社では、そこから明細を受け取ることも可能になっていたりと、郵送をブロックするのは難しくありません。
「Web完結サービス」の発展
大手消費者金融の中には、申し込みから借り入れや返済の取引の全てをインターネットやスマートフォンなどの通信手段で利用できる「Web完結」サービスを展開している会社もあります。(参考ページはこちら→ネットから便利に使える借り入れについて)
指定銀行の普通(または総合)預金口座を開設していて返済(引き落とし)口座にすることや、社会保険証などで勤務先の確認ができることなど、電話や郵送をしなくてもいい条件の揃っていることが求められています。
数としてはまだまだ少数の会社が採用しているにとどまっている方法ですが、今後、業界内で広く取り扱われる可能性を秘めた便利なサービスとして期待できるでしょう。
自宅連絡への対策~金融機関編
では、銀行等金融機関のキャッシングローンに対する対策はどのような事があるでしょうか。消費者金融と大きく異なっているのは…
- 自動契約機を設置しているのはごく一部に限られる
- 窓口での手続きをしていない銀行も多い
- その金融機関の口座を活用したローンがある
大手消費者金融のような「自動契約機でカード発行と契約書類の受け取り」ができるのは、全国展開しているメガバンクの支店に設置されているテレビ窓口くらいなもので、全国各地の金融機関で自動契約機を設置している所はごく僅かしかないのが1つ目の特徴です。
また、銀行の窓口で取り扱っていないローンもあり、手続きはネットや電話、FAX、そして郵送などの通信手段を用いるものが多いのが2つ目の特徴です。ただし、仮審査通過後の本契約手続きを窓口で行なうように指定している信用金庫や地方銀行も多くあります。
3つ目の特徴は、その金融機関の口座が必要なローンや、キャッシュカードにカードローン機能を付加することで、キャッシング専用のカード発行を省略できるものもあるという点です。
電話や郵便への対処法
これらの特徴を持つ金融機関のキャッシングローンでも、審査の際に自宅への電話確認をすることがあるのは消費者金融と同じです。これを防ぐには、消費者金融の項で書いたように、自分から積極的にコンタクトをとること。
消費者金融と同じく、担当者個人名で電話をしてくる銀行もあれば、「銀行名でお電話をします」と告知している銀行もあるので、自宅への電話は本当に困るという方は理由も添えてアピールすることが重要になります。
キャッシュカードの応用
カードローンタイプの場合、カードの受け取りが郵便になることは理解しなければいけません。そして、犯罪で利用されるのを防ぐために、本人限定郵便で送られて来る書類が最低1つはあることも頭に入れておきましょう。
キャッシュカードにカードローン機能を追加するだけでOKなものもありますが、契約書類の郵送は避けられないものと考えるのが無難です。消費者金融と違うのは、銀行名が記載された封筒で送られて来ることですが、ローン以外の用件でも利用されているものなので、自分から口外しなければローンの書類とはばれずに済みます。
口座があればWeb完結も
一部の銀行では、返済用口座をその銀行に持っていれば、Web完結で手続きをしてくれるサービスも始まっています。消費者金融と同様、まだ広く展開されてはいませんが、これから多くの金融機関で顧客サービスとして採用されることが期待されます。
快適なキャッシング利用のために
最も快適なキャッシング利用法
と、散々対処法を書いておいて何ですが、精神衛生上、最も快適にキャッシングを利用する方法は、夫婦間あるいは親子間で内緒にせず、利用目的や返済計画などの情報を共有することである事は間違いありません。
人それぞれにお金やキャッシングに対する考え方も違いますし、家族間のパワーバランスや性格も影響しますが、できることならキャッシングの有効活用を家族全体で共有することをお勧めします。