大手消費者金融会社が大手銀行の傘下に入ってグループ会社となるなど、最近の消費者金融も様変わりしています。以前サラ金と呼ばれていたイメージは大手銀行が後ろ盾となる事で大きく変化して行ったのです。
大手消費者金融会社はどのような経緯で銀行と提携し、そのメリットはどのような事なのでしょうか。大手消費者金融が銀行と提携し、実際にどのように変化して行ったのか順にお話ししましょう。
大手消費者金融とメガバンク
同じ貸付業務を行う消費者金融と銀行はどうして手を結ぶ事になったのでしょうか。
貸金業法改定がもたらしたものは
貸金業法改定以来、消費者金融業者は思わぬ苦境に立たされました。施行された総量規制、実質上の金利引き下げとなった利息制限法の改定、そしてグレー帯金利に対する過払い金返還請求への対応などによるものです。
ひと頃急速に成長していた消費者金融はまたたくまに下降の一途を辿り、多くの会社が破綻に追い込まれました。総量規制により顧客の数も貸付額も大幅に減ってしまったのです。そんな中大手消費者金融は何とか生き残らなければと考えました。
それは資金の潤沢な銀行と提携をする事です。大手銀行のネームバリューでイメージを一新する事にもなり、まさに生き残りをかけての選択でした。提携は消費者金融にとっては今までのサラ金のイメージからより安心なイメージに、そして銀行は小口融資のノウハウを学ぶと言う効果をもたらしたのです。
大手消費者金融が提携した銀行。
消費者金融会社 | 銀行 |
---|---|
アコム | 三菱UFJフィナンシャルグループ |
プロミス | 三井住友銀行グループ |
レイク | 新生銀行 |
モビット | 三井住友銀行グループ |
大手消費者金融はこう変わった
銀行との提携で消費者金融はどのように変わったのでしょうか。
貸金業法改定がもたらしたものは
貸金業法改定で利用者を巻き込んで変化したものに総量規制の施行があります。年収の3分の1以上の貸付は行ってはいけないと定められた法律です。総量規制は2006年12月に成立した貸金業法の一つで、段階的に施行され、2010年6月に全面施行されました。(参考ページはこちら→総量規制が追加された背景)
施行前消費者金融は他社での借入がある顧客にも融資を行い、それにより多重債務の為に破綻を招く人や自殺に追い込まれる人が出るなど社会問題となりました。その為、多重債務者を出さない為に施行された法律なのです。
総量規制により年収の3分の1以上の借入をしている人(与信枠も含めて)はそれ以上の借入が出来なくなり、それまで返済しては借入すると言う事を繰り返していた人は突然に限度枠が0となり、戸惑ってしまった事も事実です。
そしてその対象となった貸金業者もまた、この規制により顧客、融資金額の大幅な減少を余儀なくされたのです。加えて利息制限法の改定により中小規模の消費者金融会社はやむなく撤退、廃業したところも少なくありませんでした。
そこで、大手消費者金融が目をむけたのが銀行の小口貸付業務です。銀行は個人の大口融資には長けていますが、小口融資の知識経験に関しては消費者金融に劣ります。そして何より、銀行は貸金業者とは異なるので総量規制の規制対象外なのです。
大手消費者金融は小口融資に対する豊富な知識…ノウハウを銀行に提供する事で銀行との提携を実現したのです。この提携で大手消費者金融は銀行と言う名前をバックに置く事により以前のサラ金と言うイメージを払拭すると共に安心感も手にいれたのです。
ここで大手消費者金融が銀行と提携する事のメリットをまとめてみますね。
- サラ金と言うイメージの払拭とさらなるイメージアップを望める
- 銀行が後ろ盾になる事で資金が調達が容易になる
- 銀行の名前を掲げる事で信用度が高まる
などが挙げられます。以前の消費者金融は金利の面でも刑事罰を受ける出資法の上限利息の29.2%と言う設定にしている所が多く、それは現在の利息制限法の上限利息よりもかなり高利な上、他社での借入状況がわかっていながら貸付を行っていました。
生活に困った人達の駆け込み金融などと言うイメージが大きくサラ金と呼ばれていました。貸金業法の改正にともなって多重債務者を出さない為の総量規制、利息制限法と出資法の上限利息を統一するなど利息制限法の改正が施行された事で状況が変わったのです。
顧客や貸付金額の激減、そしてグレーゾーン金利と呼ばれる過払い金返還請求への対応、消費者金融をはじめとする貸金業者は一様に厳しい過渡期を迎えたのです。前述しているように中小の消費者金融会社が撤廃を余儀なくされたのは仕方のない事でした。(参考ページはこちら→今も中小消費者金融は残ってるの?)
言うまでもなく銀行は貸金業者とは異なる業種の為総量規制の対象外です。しかも個人融資は大口なものが多く、顧客も厳選された上質顧客が多い。顧客の質を上げたい消費者金融にとっては知りたい顧客獲得方法でもあったのです。
上質な顧客を有している銀行はそれだけ回収不能などに陥るリスクが少ないため、金利も出来る限り低く設定しての貸付が可能となっており、低金利でも充分な利益を得る事が出来ると言う訳です。それは又銀行の経営資金の潤沢さにも繋がります。
銀行と提携する事により、経営難の状況にあった消費者金融は資金を調達しやすくなると言うメリットを手に入れたのです。それらはすべて消費者金融会社としての信用度を上げる事にもなったのです。
今後の消費者金融はこうなる
総量規制の為新規顧客の獲得が困難になった事と、上限利息の制限で出来るだけリスクを負わない経営を目指す消費者金融は銀行の融資顧客の質に習い、多くの顧客獲得だけでなく顧客の質の向上を目標としています。
顧客の品質を上げる事は消費者金融の総体的なイメージを良くする事に繋がります。生活苦による借金ではなくより生活をゆとりあるものにする為の借入、消費者金融と言うものに対して以前の暗いイメージからの脱却を目的としているのです。
顧客の質が向上し、回収不能のリスクが少なくなればなるほど、金利もそれに合わせて低く設定する事が可能となるのです。 今以上に借りやすくサラ金と言うイメージから、いざと言う時に役に立つ使いやすいカードローンと言うイメージに消費者金融は変わろうとしています。
大手消費者金融はイメージを一新し、顧客の質向上を目指す事でリスクの少ない経営につなげ、リスクが少ない事から低めの金利設定を実現していこうと考えており、実際に徐々に実績を上げています。ようやく消費者金融が直面していた氷河期の氷も溶けはじめた様です。
このように消費者金融の状況もやっと明るさを取り戻しつつあり、提携した銀行との関係も銀行は今までになかった小口融資のノウハウを教わり、消費者金融はそのネームバリューで信用度を上げると言うギブ&テイクの良い関係 が続いています。
消費者金融と上手く付き合う為に
このように消費者金融も様変わりしています。それなら利用者も今までとは違った利用方法が必要なのではないでしょうか。消費者金融を上手く利用する為にはどのような事を行えば良いのでしょうか。
- 必要な金額のみ借入れする
- 計画的な返済を行う
- 多重借入を一か所での借入に纏める
こういった事に気を付けるだけで、消費者金融を便利に上手に利用できるのです。まず必要な金額のみ借入る。実質年利が利息制限法の上限以内となっているので、少額の借入の場合は金利も以前ほどかかりません。
その上で出来るだけ早く返済する。一括返済すれば金利は借りた日数だけで済むのです。高額借入をした場合は毎月の返済に加えて追加で返済を行うなど、計画的な返済を行う。他社で何社かに借入がある場合ひとつに纏める。
総量規制があり、消費者金融でひとつに纏める事は難しいように思われますが、きちんと信用実績を積んでいれば、 総量規制例外としての申告が出来ます。あきらかに顧客の利益となる場合に限り年収の3分の1を超えての借入が例外として認められる場合もあるのです。
大手消費者金融は消費者金融の代表として、徐々に元の勢いを取り戻しつつあります。不景気と言われ久しい日本の経済ですが、昔のように借金に追われて自らの命を絶ってしまうと言うような悲しい出来事は少なくなっているのではないでしょうか。
それはやはり、そういった事の無いようにと施行された法律や、自ら変わろうとしている貸金業者の新たな経営方法による所が大きいのだと思います。そして何よりも利用する人々の借入すると言う事への感覚が違ってきているように思うのです。
返済期日にきちんと返済する。信用と言うのはそんな積み重ねで着いて来るものなのです。
消費者金融会社が今一番力を入れているのが優良顧客の獲得です。優良顧客と言うのは信用のおける、回収見込みの立つ顧客の事です。利用するものもその消費者金融が目指している顧客であるように心掛けたいものですね。