この記事をご覧になられているということは、どこかへ借入れの申し込みをしようとお考えか、消費者金融についてお悩みであるという事でしょう。普段の生活において、借入れが必要ないときには全く関心を持つこともない世界ですから、何かしらの関心はおありかと思います。
(⇒初めて融資を使うなら見ておきたいこと)
21世紀の消費者金融業界は激動の時代
まずは下の表を見てください。これは金融庁が発表している貸金業者(消費者金融を含めた、金融機関以外でお金を貸す商売をしている会社のこと)の登録数です。
年(西暦)※3月末 | 登録業者数 |
---|---|
昭和59(1984) | 19,501 |
昭和60(1985) | 45,720 |
昭和61(1986) | 47,504 |
昭和62(1987) | 44,471 |
平成13(2001) | 28,986 |
平成17(2005) | 18,005 |
平成22(2010) | 4,057 |
平成23(2011) | 2,589 |
平成24(2012) | 2,350 |
平成25(2013) | 2,217 |
いかがでしょう。昭和61(1986)年の47,504社をピークに下降線をたどり、平成17(2005)年には2万社を切り、平成25(2013)年にはわずか2,217社を残すのみとなっています。
ピークとなった昭和の終わり頃はバブル景気と呼ばれた時代。そのバブルがはじけて一転長い不景気になったのが貸金業者の減少にもつながっています。さらに、消費者金融業界には2005年頃から起きた社会的問題が重くのしかかっています。
消費者金融業界に対する社会的批判
2005年頃から、消費者金融会社による脅迫とも恐喝とも言える過剰な取立てがクローズアップされるようになり、借金問題で自殺する利用者にも世の中の目が向けられるようになりました。そして、かつて存在した「グレーゾーン金利」という違法なんだけどまあいいか、と放置されてきた問題にもメスが入ります。
その結果、消費者金融会社が守るべき法律が改正され、「貸金業法」と法律名も変えられました。中身についても今までの常識を覆すものが多く含まれ、グレーゾーン金利は撤廃、過剰な取立ても禁止。利用者に対する貸付総額も制限されるなど、業界に大きな影響を与えました。
その結果、今まで年利29.2%といった利息で経営していた会社は最高でも15~20%に上限金利が設定され、今まで利息を払いすぎていた利用者からの「過払い返還請求」も急増。利息収入が生命線の会社がどんどん廃業・破産・吸収合併で姿を消していきました。
消費者金融会社の破綻が及ぼす利用者への影響
消費者金融会社が倒産などで姿を消すということは、その会社の利用者にも影響を与えます。特に何度でも繰り返し借入れができるカードローンタイプの契約をしていた利用者にとっては、返済計画が根底から覆されることにもなる重大事でもあったんです。
想像してみてください。計画的に借りては返し、少しずつ残高を減らしていこうと利用していたものが、ある日突然借入れ停止になるんです。しかし、残額は今までどおり返済しなければいけない。そうなると利用者の立てた計画は白紙に戻すしかなくなってしまうんですね。
これからお話するのは、ある消費者金融会社の辿った破産までの道のりと、その結果です。今でも破産したその会社への支払いを続けなければいけない人もいることを考えると、「理想的な消費者金融の利用方法」が見えてくると思います。
社名を4回変えた消費者金融クラヴィスのなぜ
株式会社クラヴィス。この社名だけを聞いてもよく解らないでしょう。では、次の中に「あ、それ知ってる!」という消費者金融会社名はないでしょうか。
- リッチ株式会社
- 株式会社ぷらっと
- 株式会社クオークローン
- 株式会社タンポート
いかがでしょうか。特に「クオーク」は聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。2000年代前半に頻繁にCMを流していた信販会社の「クオーク」と提携していたのが「クオークローン」で、それを含む上の会社名は全て、株式会社クラヴィスの名称変更前のものです。創業時(リッチ)から4回の商号変更をしているわけです。
なぜ4度も商号を変えたのか
クラヴィスは「リッチ」という商号で創業しています。その後、2社を吸収合併したときに「ぷらっと」へ、先に書いた信販会社クオークとの提携で「クオークローン」へ、提携を解消し、全店舗閉店後に「タンポート」となり、株式を売却して今の「クラヴィス」となっています。つまり、4度の大きな転機の都度、商号も変更してきたというわけです。
- 創業時
- 他社を吸収合併
- 信販会社との業務提携
- 閉店後
- 株式譲渡による親会社の変更
クラヴィスが破産した原因
結果として破産をし、今もその手続きや裁判が継続中なクラヴィスは、なぜ事業につまずいたのでしょう?業界大手のプロミスの傘下に入り、そのプロミスが三井住友グループになってからは信販会社との提携もできていたはずなのに…。
考えられる原因として、「グレーゾーン金利の撤廃と過払い金返還請求で首が回らなくなった」点が挙げられます。全店閉店するまでの経営は、グレーゾーン金利上限の年利29.2%だったと言われており、それが利息を多く払いすぎている利用者からの返還請求となって跳ね返ってきたこと。金利を引き下げては経営が成り立たないことは大打撃でしょう。
クラヴィスから学ぶ「消費者金融会社の選び方」
では、これから消費者金融会社を選ぶに当たって、この事例は役に立つでしょうか。ここでは3つの視点で借り入れ先選びの教訓を提案します。
- 長年経営している会社は過払い金返還請求で経営困難になっていないか
- 新たに届け出した会社は、新規事業なのか商号変更なのか
- カードローンタイプの場合、急に借入れができなくなっても大丈夫な計画を立てられるか
経営年数の判断は登録番号を見る!
借りようとしている消費者金融会社が何年営業しているかを見るには、「貸金業登録番号」をチェックすると解りやすいです。以下に2点の例を示します。
- 関東財務局長(10)第00001号
- 東京都知事(1)第01000号
ここで見るべき点は、(10)と(1)の数字です。消費者金融をはじめとする貸金業者は3年に一度、登録の更新をしなければいけません。その更新が行なわれると、カッコの数字が1つ増える仕組みになっています。つまり(1)は新規に届け出をして3年未満。(10)は初回を含めて10回目の登録なので、28~30年目の会社だということです。
商号を変更したり、届け出先を変えたりすると、カッコの数字は1にリセットされます。そのため、商号変更だったり規模の拡大・縮小での届け出先変更をしているかも見極めなければいけません。
理想の借り方は「借りれなくなっても大丈夫なこと」
消費者金融のお金の貸し方には、カードローンのように繰り返し借りる事ができるものと、一度借りたら後は返済するのみのものがあります。前者を「極度額貸付方式」と言い、後者を「証書貸付方式」と言います。
過払い金返還の波もやがては収まる
これから新規で契約する分には、過払い金は発生しません。理由はお解りですよね?グレーゾーンという『違法な金利』ではなく、法律を守った正しい金利での契約に過払い金は発生しない、単純な理屈です。
やがては過払い金の問題も薄れ、いつかはなくなる問題ですが、今はまだ過渡期にあります。過払い金の返還で経営状態が悪化していないか公式サイトで決算状況をチェックしたり、弁護士事務所のホームページで名前が取り上げられていないかチェックするなどで調べたいところです。
安心して利用できる消費者金融会社選び。この記事が少しでも参考になれば幸いです。