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未成年や高齢者はダメ!?銀行カードローンの年齢制限を考える

先日、何十年来のお付き合いをさせてもらっている友人のお子さんから、こんな質問をされました。

「俺、自動車整備工場で働いてるでしょ?ちゃんと給料ももらってるし、勤めて1年以上経つんだけど、なんで銀行のカードローンって作れないの?」と。
(⇒融資審査に通らない理由が気になるならこちら

その子は19歳。高校を卒業し、車好きなのと知人の紹介もあってディーラーではない街の自動車整備工場に就職して1年が過ぎた所でした。多くは聞けませんでしたが、どうやら彼女ができたらしく、ドライブやらなにやらでお金がかかっているらしいんです。

未成年者がカードローンを利用できない理由

難しい話は通じないだろうと、私はこのように答えました。

「19歳はまだお金の使い方も充分理解できていないから、法律で無謀な契約をしたときのために守られているんだよ。だから、カードローンの契約も法律で取り消しができるようになってるんだって。だから銀行もむやみに未成年の子とは契約できないらしいよ」

日常生活の基本となる「民法」とは何だ!?

それで納得できたのか、その話は「ふ~ん」といった具合に終わりましたが、この話をもう少し具体的にするならば、「民法」という法律のお話からしなければいけません。日本の法律の中でも基本的な事柄を定めた6つの法律のうちの1つである「民法」とは、どのようなものなのかから話を進めていきましょう。

刑法については皆さんもよくご存知だと思います。刑事事件になる犯罪やその刑罰について定められている法律ですよね。刑事についての法律だから「刑法」。一方、本題になる「民法」は民事について定めているから「民法」と名付けられているんです。

「民事」とは、「人とは?」「契約とは?」「債権とは?」「婚姻とは?」といった生活全般の基本的なことを言います。20歳が成人と決められているのも、この「民法」(第4条)だって知ってましたか?

未成年者の法律行為は「民法」で制約を受けている

この「民法」。未成年者についてこう書いています。

【第5条 未成年者の法律行為】
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。(以下略)
2.前項(1のこと)に反する法律行為は、取り消すことができる。
何か難しいことを言っているようですが、話は簡単なんです。未成年者が契約などの法律に基づく行為をするときは、親などの法定代理人が同意をしなければいけない。これに反する行為は取り消すことができる。こう書くと解りやすいでしょうか。

これを銀行のカードローンに当てはめると、「未成年者とのカードローン契約は、親などの法定代理人の同意がなければ取り消すことができる」となってしまうんですね。
(⇒未成年の融資が難しい理由とは

制約する理由は「未成年者を守るため」

もし、この決まりがなかったとしたら、恐らく19歳でも安定した仕事をしてお給料をもらっていれば、銀行のカードローンが組める世の中になっているでしょう。しかし、極端に考えれば小学生でも中学生でも契約したことは有効になってしまうんです。

大人になって毎月10万円単位でのお金を扱っていると、子供の頃の金銭感覚は忘れてしまうかもしれないですが、高校を卒業してまだ2年も経たないうちに、お金をどう扱っていくかを完璧にマスターできるお子さんは少数派でしょう。まして銀行でお金を借りるということの重さは把握できないのではないでしょうか。

そんな不安定な年頃だからこそ、民法によって無謀な契約は取り消しができると守られているわけです。制約の裏側には、法律で未成年者を保護し守るという重大な事柄が隠されています。

恐怖の買い物体験でわかる未成年者の契約

私も高校を卒業して就職した子供の一人でした。地方出身の私が入った会社は東京で新人教育を3ヶ月行なっていて、初めて親から離れて自分の給料で寮生活をすることになったんです。

そんな生活をしていたある日、やはり地方出身者の同僚からスーツを買うから付き合って欲しいと言われ、とある洋品店に出かけたんですが、そこで思わぬ買い物をさせられることに。

店舗で友人とスーツを見ていたら、男性店員から2階にもあるからどうぞ、と事務所のようなスペースへ案内され、そこで高額なスーツを2人して購入する契約をさせられてしまったんです。今思えば「バッカじゃなかろか」と思うところですが、18歳の当時はよくわからず、さらに断れる雰囲気ではない怖さも手伝って、一着50万円のスーツを買う事に…。

その後まもなく新人教育は終わり、地元へ戻ったその日に母に言われたのが、「このスーツどうしたの?」

契約するまでの話を聞いた母は、大激怒で東京のその店に即電話をし、「未成年つかまえて50万円もするスーツを買わせるとは何事だ!現品送り返すから契約はなし!!」とその契約は取り消しになりました。

母がたまたま「民法で取り消しができる」と主張してくれたおかげで救われたわけですが、その翌年に夜間の大学で法律を学ぶまではその意味もわからず、「助かった~!」と思うだけだったのを鮮明に覚えています。

もし売り場で「これなんかどうですか?」と言われれば「いや、僕は付いてきてるだけなんで」と断れたでしょうが、あの雰囲気は今でも人生の恐怖体験でトップクラスでした。「買うまで帰れないんじゃないか?」といったら伝わるでしょうか。

銀行側も不安定な契約は望んではいない

消費者の立場は勿論のこと、貸す側である銀行も法律上、また、経験上不安定な未成年者に対して積極的な融資は行いません。契約はしても、いつ取り消されるか解らないとなれば、銀行もそこまでして貸す意味がないと思うのは当然ですよね。

カードローンも立派な借金です。まだお金の使い方も物の相場も把握しきれていないだろう未成年者がそれを利用するのは、かなりの危険がつきまとうことになるでしょう。以上のことからも、法律上の線引きが20歳なことに頷けるのではないでしょうか。

銀行カードローンには年齢上限もある

ここまでは20歳未満の未成年者についてお話をしてきましたが、その対極に「年齢上限」があることも知っておかなければいけません。カードローン契約は、特に問題がない限りは1年~3年程度の契約期間で自動更新されるものが多く、上限年齢のことを考えないで借りてしまうことも危惧されます。
(⇒高齢者の融資もなかなか厳しい?

上限年齢はカードローンによって異なる!

では、「20歳未満」のような統一的な決まりはあるのでしょうか?実は年齢上限について法的な制限はなく、銀行によって、またカードローンによって借入れ可能年齢が異なっています。傾向として、高額融資のカードローンは60歳前後で新たな借入れができなくなり、一般的なカードローンでは65~70歳の間に利用できなくなると考えていいでしょう。

理由は言わずもがなですよね?60~65歳で多くの方は退職をし、年金収入での生活に入ります。それを境目として、新規の借入れを停止するというのは詳しく書くまでもないでしょう。ただし、中にはシニア向けのカードローンや76歳まで利用できるカードローンもあったりするので、全部が全部ダメになるわけではないという事も知っておいてください。(参考ページはこちら→年金のみでお金を借りたいならこちら

【参考ページ】
融資を受けるなら年齢は必ずチェックしましょう

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